陰陽五行説とは何か?今に続く古代の知恵を簡単に解説します

はじめに
この記事では、四柱推命の基礎となっている考え方「陰陽五行説」(いんようごぎょうせつ)を、できるだけ簡単に説明します。
陰陽五行説は一見難しそうに見えますが、そんなことはありません。現代を生きる私たちの生活にも、驚くほど深く関わっている身近な考え方です。
四柱推命を本格的に学ぶ前に、基本的な陰陽五行説の考え方を知っておくと、よりスムーズに四柱推命を理解することができるでしょう。
目次
陰陽五行説って何?
陰陽五行説は、2000年以上も昔の古代中国で生まれた考え方です。この考え方は、現代でも私たちの生活、体や心にも深く関わっています。
陰陽五行説は、「陰陽」と「五行」の二つの部分から成り立っています。宇宙や自然、人間の体に至るまで、すべての事象は陰陽という二つのエネルギーと、木・火・土・金・水の五つの基本的な要素(五行)から成り立っていると考えます。
「陰陽」と「五行」のそれぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
陰陽とは?
陰陽の基本
「陰陽」とは、すべてのものが「陰」と「陽」というの2つの性質からできているという考え方です。
例えば、太陽は明るくて暖かいので陽、月は涼しくて暗いので「陰」です。同様に昼は陽、夜は陰、夏は陽、冬は陰です。このように、さまざまな自然現象に陰と陽が割り当てられています。

でも大事な点が一つあります。陰と陽のどちらか一方だけでは、世界が成り立たないことです。
現代だと陰キャなんて言葉があり、どちらかというと自分や他人を下げるニュアンスで使われています。でも陰陽五行説において、陰陽に優劣や善悪の区別はありません。だから、どちらかが一方より優れているということはないので気をつけてくださいね。
太極図について

上の図をどこかで見たことがありませんか?この図は太極図(たいきょくず)といいます。世界は陰と陽によって調和を保っているという、陰陽の考え方を端的に表した図です。太極図は黒と白の二つの部分から成り立っており、黒い部分が陰、白い部分が陽を表しています。
しかし、陰と陽は完全に分かれているわけではありません。それぞれの部分の中に小さな円がありますね。これは、どんな状態にあっても、相反するエネルギーが少し含まれていることを意味しています。
昼と夜が入れ替わるように、一方のエネルギーが行き過ぎると、次のエネルギーに変化します。つまり、この図は世界の全てのものが変化し続けるという、万物流転、有為転変の原理も表しています。
五行とは?
五行の基本
「五行」とは、木・火・土・金・水の5つの元素のことです。自然界のすべてのものが、この5つの元素で成り立っていると考えます。
これらの元素は、お互いを助けたり抑えたりしながら、バランスを取っています。この五行同士の関係性について、もう少し詳しく見てみましょう。
五行同士の関係性
木・火・土・金・水の五行は、相生(そうしょう)と相剋(そうこく)という関係性から成り立っています。その関係性によって、いろんな変化が起こります。
例えて言うと、異なる物質同士が反応した時の化学変化のようなものです。五行同士がうまく相互作用することによって、自然界はバランスを保っています。

相生(生み出す関係)
相生は、一つの元素が次の元素を生み出す関係のことです。
- 木が火を生む(木生火):木は燃えると火を作り出します。
- 火が土を生む(火生土):火が消えると灰が残り、この灰が土の一部になります。
- 土が金を生む(土生金):土の中には金属(金)が存在しています。
- 金が水を生む(金生水):金属は冷えると結露を起こし、水が生まれます。
- 水が木を生む(水生木):水は木や植物を育てます。
このように、相生の関係では各元素が次の元素を生み出し、成長させます。
相剋(制する関係)
相剋は、一つの元素が別の元素を制する関係のことです。
- 木が土を制す(木剋土):木(植物の根)は土の栄養分を吸い取って成長します。
- 土が水を制す(土剋水):土は水を吸収し、水の流れを変えたり止めたりできます。
- 水が火を制す(水剋火):水は火を消すことができます。
- 火が金を制す(火剋金):火は金属(金)を溶かすことができます。
- 金が木を制す(金剋木):金属製の道具は、木を切ることができます。
このように、相剋の関係では、各元素が次の元素を制します。
陰陽五行の歴史は?
陰陽五行ってどこから来たの?
陰陽五行の考え方が生まれたのは、3000年以上も前の古代中国です。
昼と夜、暖かさと冷たさなど、自然界の対立する二つの現象を説明するために「陰陽」という仕組みが考えられました。
そして昔の人が自然を観察している時、すべてのものが木・火・土・金・水の五つの元素で説明できることに気づきました。そこから「五行」という考え方が生まれたのです。

昔の人たちは、未来を予測するために、過去の出来事から得られた経験則というものを非常に重視していました。自然観察で得られた経験則を高度な形でまとめ上げた理論が、陰陽五行説であると言えるでしょう。
そして時間が経つにつれて、陰陽五行説は医学、占い、哲学など様々な分野に影響を与えるようになりました。
日本における陰陽五行
陰陽五行の考え方が初めて日本に伝わったのは、6世紀頃だと言われています。そして奈良時代から平安時代にかけて、多くの僧侶や学者が中国へ留学し、仏教をはじめとする宗教や文化とともに、陰陽五行の考え方を日本に持ち帰りました。
日本に伝わった陰陽五行は、都市の設計、医療、農業、さらには祭りや行事など、生活の様々な面に取り入れられました。例えば、京都の街並みは陰陽五行の考え方に基づいて設計されたと言われています。

また、日本独自の「陰陽師」(おんみょうじ)という職業も生まれ、彼らは人々の健康や様々な問題を、陰陽五行の理論を用いて解決していきました。
西洋の四元素(火地風水)と五行の違いは?
西洋には、五行によく似た思想として、火・地・風・水の四元素があります。四元素も五行も、自然を解釈する手段ですが、どのような違いがあるのでしょうか?
西洋の四元素の起源は、古代ギリシャにさかのぼります。紀元前5世紀の哲学者エンペドクレスは、自然界のすべての物質は、四つの要素(火・地・風・水)から成り立っていると考えました。そして、これらの要素が組み合わさって、いろいろなモノが生まれるとしました。その後、プラトンやアリストテレスによって新たな解釈が付け加えられ、西洋哲学の土台になる思想として発展していきました。
一方、上でも述べた通り、五行には木・火・土・金・水の五つの要素があります。そして、これらがお互いに助け合ったり、制限しあったりして、世界が調和を保っているとします。
つまり、四元素はモノがどう組み合わさっているのか、に注目しているのに対し、五行はモノ同士がどう関わり合っているのか、に焦点を当てています。同じく古代を起源とする思想であり、根本の部分は似ていますが、異なる解釈を加えて発展してきたのが面白いですね。
陰陽五行説と生活
陰陽五行説は、私たちの日常生活とどう関わっているのでしょうか?具体的な例を見てみましょう。
自然と陰陽五行説
自然界では、陰陽と五行のバランスが絶えず変化しています。これらの変化が、生命のリズムや季節のサイクルを作り出しています。
例えば、昼は「陽」、夜は「陰」の時間で、1日ごとに陰陽のリズムを耐えず繰り返しています。
そして、春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、そして冬は「水」に割り当てられ、1年ごとに五行のリズムを耐えず繰り返しています。なお「土」だけは特殊で、季節の変わり目に位置付けられ、季節のバランスを保つ役割を果たしています。
日本の伝統行事と陰陽五行説
日本の伝統行事には、陰陽五行説と深く結び付いているものがあります。
節分は、冬と春が切り替わる時期に行われる伝統行事です。季節が移り変わる時には、陰陽と五行のバランスが変化します。春は五行の「木」が盛んになる時期ですが、それを抑えるのが五行の「金」です。節分の豆まきには、金の五行(豆)を打ち付けて金の五行を抑え、五行のバランスを整えようという意味が込められています。

七五三は、毎年11月15日ごろに行われる、3歳、5歳、7歳の子どもたちの成長を祝う伝統行事です。陰陽五行説では、奇数を陽の数と捉えます。3歳、5歳、7歳の年齢の子どもたちを祝福することで、陽の気をもたらし、健康や幸福を願う、という意味が七五三には込められています。
風水と陰陽五行説
陰陽五行説と、切っても切れない関係にあるのが風水です。風水をわかりやすく言うと、自然と人間の調和を目指す思想です。住まいや環境における「気」の流れを整え、良好な状態を保つことが風水の目的です。
風水では、良い「気」の流れを生み出し、環境や人にいい影響を与えるために、陰陽のバランスが重要とされています。例えば、明るく開放的な空間は「陽」が強く、静かで閉じられた空間は「陰」が強いです。この陰陽のバランスを調整するのが、風水の役割です。
また、風水では、五行の要素を適切に配置して良い「気」の流れを作り出すことで、空間の調和を目指します。例えば、ある空間で「水」の要素が強すぎる場合、調和させるために「木」の要素を加えたりします。
まとめ
ここまで、陰陽五行説について解説してきました。陰陽五行説を学ぶことで、自然や私たちの生活、身体について新しい見方ができるようになります。陰陽五行説という考え方が、想像以上に私たちの普段の生活に深く関わっていることが、理解していただけたら嬉しいです。