四柱推命

誕生日時の調整(地方時差・均時差・サマータイム)について

日時計

はじめに

四柱推命の命式を出すときに、生まれた時刻をそのまま計算に使うことはしません。地方時差均時差サマータイムなどの調整を加える必要があります。

時刻の調整自体はプログラムが自動で計算してくれるので、命式を出したいだけなら、この記事を読む必要はありません。ただ、その根拠を知っておくと四柱推命への理解が深まります。

この記事では、誕生日時の調整について解説していきます。少し細かい話になるかもしれませんが、命式を正確に出したいと思っている方は、ぜひご覧ください。

目次

誕生日時の調整について

四柱推命の命式を計算するときには、誕生日時に地方時差均時差サマータイムなどの調整を加える必要があります。

調整といっても、誕生日時が数分か数十分変わる程度なのですが、人によっては命式が変化します。そのため、正確な命式を出したい場合は、調整が必要なのです。

以下では、地方時差、均時差、サマータイムについて解説していきます。

地方時差とは?

日本では、東経135度(兵庫県明石市付近)の時刻が、日本標準時として定められています。日本標準時は、日本国内であればどの地点でも同じ時刻になります。

明石市立天文科学館
明石市立天文科学館

このため、生まれた地域が東経135度からどれだけ距離が離れているかを測って、時刻を調整する必要があります。この日本標準時と生まれた地域の時刻の差が「地方時差」です。地方時差は、以下のような式で計算します。

地方時差 = (生まれた地点の経度 - 135) * 4

経度が1度違うと、4分の時差になります。東京の場合は経度が東経139.7度なので、約+19分の地方時差になります。

数分程度ならそれほど大きな差にならないかもしれませんが、北海道根室市(東経145度)だと地方時差が約40分、沖縄県の与那国島(東経123度)だと地方時差は約48分になります。日本は意外とヨコに長いので、地方時差も命式の計算で重要な要素の一つです。

以下の表に、日本の主要都市の地方時差を示しました。

都市名地方時差
札幌市約25分
仙台市約23分
東京都約19分
名古屋市約8分
金沢市約7分
大阪市約2分
岡山市約-4分
広島市約-10分
福岡市約-18分
那覇市約-29分

均時差とは?

「均時差」とは、「視太陽時」と「平均太陽時」の差を計算した時刻です。

均時差 = 視太陽時 − 平均太陽時

視太陽時は、実際に見える太陽の動きを元にした時間で、日時計で測った時刻です。視太陽時は、真太陽時とも呼ばれます。

一方、平均太陽時は、普段の日常生活で標準時刻として使用されている時刻です。日本では、日本標準時(JST)と呼ばれています。

つまり、視太陽時は実際の太陽の動きに基づいているとのに対し、平均太陽時は仮想的な太陽の平均的な動きを基準にしているという違いがあります。視太陽時は1年を通して不規則な変動をするのに対し、平均太陽時は年間を通じて1日24時間という一定の値を保ちます。

太陽と人

遥か昔から近代まで、太陽は世界中で時間計測の基準であり続けてきました。古代の中国では、髀(ひ)と呼ばれる日時計を用いて時間を測っていました。太陽が南中するときに影が一番長くなるので、そのタイミングを正午としていたのです。このように、日時計を用いて測った時刻が、視太陽時として記録されました。

しかし、視太陽時を使っている場合、1日の長さは1年を通じて一定ではありません。1日の長さが変わるというのは、日常生活には不便です。そのため、近代になって、1日の長さを平準化するために、平均太陽時が導入されたのです。

誕生日時は、平均太陽時を用いて記録された時刻です。一方、四柱推命の命式は、視太陽時に基づいて算出します。そのため、命式を計算する際には、誕生日時から均時差の影響を取り除いてやる必要があるのです。

そもそも、なぜ均時差というものが発生するのでしょうか?理由は大きく分けて二つあります。結構細かい話になるので、理解しなくても全く問題ありません。

  • 地球が太陽の周りを楕円軌道で公転しているため
  • 地軸(地球の自転軸)が、公転面に垂直な方向に対して23.4度傾いているため

地球はケプラーの第一法則に従い、楕円軌道で運動しています。この法則によると、地球は太陽に近いときには速く動き、太陽から遠いときには動きが遅くなります。地球の運動速度が年間を通じて一定していないため、毎日少しずつ視太陽時に差が生じてくるのです。

次の理由として、地軸(地球の自転軸)は、公転面に垂直な方向に対して、約23.4度傾いていることが挙げられます。太陽は、夏には北寄りに移動し、冬には南寄りに移動します。南北への移動が大きい春分・秋分前後には、移動量が小さくなり、南北への移動が小さいとき、つまり夏至・冬至前後には、東への移動量が大きくなります。

均時差の値は、年間で以下のグラフのように変化します。Day of yearというのは1月1日からの経過日数のことです。Minutesがプラスの場合には南中時刻が平均より早く、マイナスの場合には南中時刻が平均より遅くなります。

均時差は17分以上になることはありません。また、他の年と比べて大きく変化することはありません。

均時差
均時差のグラフ

サマータイムとは?

夏のビーチ

サマータイムは、夏に公式の時計を1時間進める制度です。サマータイムの導入には色々な目的がありますが、夏の時間を効率的に進めるのが一番大きな理由です。かつて日本でも戦後の数年間、1947年から1951年までサマータイムが実施されていました。

1952年からサマータイムは廃止されてしまったため、今の日本でサマータイムに馴染みのある方は少ないでしょう。しかし、欧米のほとんどの国では、現在でも夏にサマータイムが実施されています。海外生まれの方の命式を計算する場合、サマータイムに注意する必要があります。

日本では馴染みが薄いとはいえ、1947年から1951年の間に生まれた方に対しては、サマータイムを考慮する必要があります。

四柱推命ネクストでは、サマータイム期間中に生まれた方の場合、サマータイム調整前の生誕日時を入力します。入力した日時と場所がサマータイム期間中であるかどうかは、コンピューターが自動判定します。

最終的な調整済み日時は、サマータイムを考慮して調整した日時になっているので、ユーザー側でサマータイムを考慮した時刻を入力する必要はありません

具体例

さて、地方時差、均時差、サマータイムについて述べてきました。ここから具体的な命式の例を使って、概算で計算してみましょう。

具体例として、1994年7月5日 21時5分 岩手県奥州市生まれ(大谷翔平さん)という例を用いています。

大谷翔平さんの命式
大谷翔平さんの命式

まず、地方時差です。岩手県奥州市の経度はおおよそ東経141度なので、計算式は以下のようになります。

(141 - 135) * 4 = 24

ということで、地方時差は+24分になります。

次に均時差です。7月5日生まれなので、1年の経過日数は186日です。グラフから値を読み取ると、均時差はおおよそ-5分になります。

最後にサマータイムです。当然、1994年にサマータイムは実施されていないので、サマータイムによる調整は必要ありません。

ということで、誕生時刻に+24分と-5分の調整、つまりプラス19分を加えて、概算の調整済み時刻は1994年7月5日 21時24分になりました。この結果、命式が変化することはありませんでした。ただ、実際には命式が変わることも多々ありますので、時間帯と間などの微妙な時間の場合は特に注意しましょう。

【記事作成・監修】白川流清
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